のぼう途たくふぁんの戯言

心はいつも涅槃寂静

【その人】

その人は産まれも育ちも良くは無いし、学があるわけでもない。

しかし、エクスペリエンスが豊かだからか、それとも挫折を味わったからなのか、

平凡なわたしには計り知れるわけがなく、ただ、元々のあらゆる能力が高いのは確か。

 

話し方や所作に品があるわけでもないのに、魅力的で惹き付けられる。

奥ゆかしいわけではない。

しかし、風格はある。

外見も悪くはないが美男子とはとても言えない。

しかし、覇気はある。

 

なんと言えばいいのだろう。

 

趣き??

 

なのだろうか。

 

 

今日その人が苔を見せてくれた。

どこにでもある山苔だった。

小さな鉢にビッシリと程よく湿気を保った美しい山苔だった。

その人が手入れをしていたらしい。

 

「ただ小さなゴミや石を退けるだけ。あと水ね」

 

小さな鉢の中に、わたしは壮大な森を見たようだった。

その人の描く綺麗な世界が凝縮しているようだった。

 

ただ、感動したんだ。

 

それだけ🙂


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